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【県民被ばく量調査】健康守れるか 財源の確保不透明

 東京電力福島第一原発事故による県民の被ばく量を調べる「県民健康管理調査」の基本調査が本格的に始まる。佐藤雄平知事は25日、関連費用962億円を盛り込んだ一般会計補正予算案を発表し、実施に万全を期す考えを強調した。しかし、調査以外にも放射線対策などに予算の多くが充当されるため財源不足を懸念する声が早くも上がっている。子どもを中心とした県外への避難者の検査態勢をどう構築するかなど課題も多く、手探りだ。

■基金足りない

 予算案に計上された962億円は、今後30年間の健康管理調査の財源となる基金の原資。全額が国からの交付金だが、事業の初年度で早くも25%に当たる約250億円を使い切る。

 問診票印刷、発送料など今年度の健康管理調査費用は38億円。県として「想定内」の支出だった。

 しかし、国が基金を活用して実施するよう求めた学校の表土除去や通学路の除染作業に対する補助事業に申請が殺到し、調査以外の支出は200億円近くに上ってしまう。

 佐藤知事が6月、健康管理調査などへの財政支援を要望した際、菅直人首相は国が全額を支出する意向を示した。しかし、首相は交代する。国の第三次補正予算で、基金を増額するとの連絡は県に届いていない。

 佐藤知事は健康管理調査について、「活力を持って長寿社会を維持できるようするため、全力を傾注する」と力を込めた。ただ、調査を担当する保健福祉部内からは「このままでは、数年で基金が枯渇する。国が全額を負担するという約束を守るのか心もとない」とのため息が漏れる。

■県外避難者は

 幼い子どもを持つ保護者らの要望を受け実施される18歳以下を対象にした甲状腺がんの定期検査。県外に避難しているとみられる1万人を超える該当者への検査では、実施する医療機関などがまだ固まっていない。

 県外避難では、親類・知人の縁を頼り転居を繰り返すケースが多い。居場所を特定できた場合でも、県が甲状腺検査の可能な最寄りの医療機関を把握し周知するには、かなりの労力が必要となる。さらに、医療機関までの交通費の負担も課題だ。県が補助すれば、枯渇の懸念のある基金が、ますます先細りする。

 6歳の長女と10カ月の長男を持つ郡山市の主婦(38)は「健康は自分たちだけで判断できない。県外に移転した場合でも、確実に甲状腺検査を受けることができる態勢を取ってほしい」と訴える。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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