東日本大震災アーカイブ

被害別5地域で事業 相双相馬、双葉に分け重視 県復興計画 除染、風評対策など

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの本県の復興に向けた具体的な取り組みを示す県復興計画は、県内を五エリアに分け、地域の被災状況に沿った事業を盛り込む。原発事故で避難区域などとなっている相双地方は相馬、双葉両地方に分け、重点的に復興事業を展開する。12日、福島市で開かれた県復興計画検討委員会の初会合で県が示した。計画には除染や風評被害払拭(ふっしょく)などの重点プロジェクトを十項目程度掲げ、今後10年間の復興に向けた事業に反映させていく。

 県が示した県復興計画の地域別区分は【図】の通り。

 浜通りを相馬、南相馬、新地、飯舘4市町村の相馬地方と、広野、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾の8町村の双葉地方と、いわき市の3エリアに分け、中通りの県北・県中・県南エリア、会津地方の会津・南会津の5エリアとする。相双地方は津波被害が甚大な相馬地方と、原発災害が大きい双葉地方に区分した。

 原発、津波、風評被害など各エリアごとの被害状況を把握するため、各市町村の首長や担当者との意見交換会を開き、地域の実情を計画に反映させる。

 県復興計画の構成案については【表】の通り示した。8月11日に策定した県復興ビジョンに盛り込んだ「緊急的対応」「ふくしまの未来を見据えた対応」「原子力災害対応」の主要施策ごとに事業を策定。復興に向けた象徴的な事業を「重点プロジェクト」とする。原発事故で県内各地に拡散した放射性物質を取り除くため、学校や公園などの生活空間の除染事業を盛り込んだ環境再生戦略プロジェクトなどを想定。各方面に広がる風評被害を払拭する事業も盛り込む方針。

 県は主要政策に併せて事業策定するための3分科会も設置。協議と並行し地域懇談会や高校生アンケート、経済団体との意見交換会、パブリックコメントを通して県民の意見を取り入れ、年内に県復興計画を策定する。
 県復興計画は今年度から10年間の第一次計画で、今後、原発事故の収束状況などを踏まえて追加修正していく。
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カテゴリー:福島第一原発事故