■原町から避難 裏磐梯小5年 松本安基良君
9、10の両日に北塩原村で行われた、同村といわき市の大野一、大野二両小児童が交流する「海の子山の子ツアー」。雪遊びの時間に、青い帽子を載せたかわいらしい雪だるまが完成した。南相馬市原町区から避難する裏磐梯小5年の松本安基良君(10)が、クラスメートらと作り上げた友情の結晶だ。
松本君は石神二小の野球チーム「石二小ライガース」に所属していた。4年生でレギュラーとなり、新学年でさらなる活躍を誓っていた。だが、東日本大震災が大好きな野球を奪った。応援してくれた祖母綾子さん=当時(66)=は津波に流され、今も行方が分からない。
昨年4月、放射線量の高さを理由に母富美子さん(38)、弟2人と北塩原村の村営住宅に引っ越し、裏磐梯小に転入した。新しい環境に不安を感じたが、同級生が「家は大丈夫?」と心配してくれた。「すごくうれしかった」。ソフトボール部に入り、再び白球を追い掛ける日々が始まった。
富美子さんは「早く溶け込んでくれて良かった」と振り返る。古里で働く夫貴文さん(39)には毎日、電話で子どもたちの様子を伝える。「平日は会えないので寂しい」という松本君は、週末に親子でキャッチボールをするのが一番の楽しみだ。
9日の「海の子山の子ツアー」歓迎の会では、児童を代表して歓迎の言葉を述べた。後藤修校長は「楽しく生活し、持てる力を発揮している」と話す。
4月からは最上級生。「登校、掃除の班でやらなくちゃいけないことが増えるので頑張りたい」。古里に帰りたい気持ちはある。でも今は遠く離れた雪国で、新しい絆を強めている。「裏磐梯の友達は大切な仲間。この学校に来て良かった」
(カテゴリー:連載・今を生きる)