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【避難区域見直し・総合支援策】国「青写真」描けず 県復興計画停滞の恐れ 医療、除染...課題山積み

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの被災地再生の司令塔となる復興庁が発足し、業務を開始した。平野達男復興相は4月の避難区域再編に合わせ、住民帰還に向けた総合的な支援策を打ち出す方針を示しているが、作業は滞っている。医療、教育機関の機能回復、不動産の補償、中間貯蔵施設設置の「青写真」を描くことができないためだ。区域見直しの具体像も提示されず、県からは「このままでは復興計画が停滞する」との指摘が出ている。

■優先付けに苦心
 初代復興相に就いた平野氏は「避難指示解除準備」「居住制限」「帰還困難」の3区域への見直しに合わせ、除染作業の工程、上下水道や電力の社会資本復旧、雇用対策、賠償方針などを盛り込んだ総合的な避難者支援策の第一弾をまとめる考えを示している。
 だが、復興庁の支援策づくりは難航を極めている。住民生活に欠かせない医療機関が帰還困難区域にある場合、救急医療をはじめとする医療の機能分担を地域で再構築する必要がある。救急搬送を担う消防機関との調整も必要で、震災以前の地域医療態勢を取り戻すことは容易でない。
 支援策には、帰還困難区域での不動産買い上げをはじめとする土地・家屋の補償についての考え方を盛り込み、住民が将来設計を立てる上での参考としてもらう考え。しかし、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が土地・家屋など財物の賠償方針を示していないことから、算定基準を決められないままだ。
 学校再開に向けては、子どもの生活圏の除染が不可欠となる。しかし、除染計画の策定を進める政府は、実施する場所の優先順位付けに苦心しているという。
 除染で出る汚染廃棄物を受け入れる中間貯蔵施設の設置場所が決まらないことも大きな障害となっている。建設候補地となった双葉郡内の町村間で議論が進まず、支援策の策定や区域見直しの作業を鈍らせている。
 復興庁の担当職員は「検討すべき項目が多く、帰還に向けた支援策を市町村に説明できる状況にない。作業のスピードアップを目指したいが...」と現状を明かした。

■会議は1度だけ
 「国は一体何をやっている。庁内調整も満足にできない」。県幹部は、2カ月後に迫った避難区域の見直しについて、国から情報が入らないことに憤りを隠さない。
 県は1月、区域見直しに伴う市町村と国との連絡調整や課題整理を行う庁内組織「原子力被災市町村支援推進会議」を発足させた。しかし、国から具体的な説明がなく会議は1度開かれただけだ。
 今後10年間を見通した県復興計画には医療福祉体制の再構築、海岸堤防や防災緑地の整備計画など浜通りの再生に向けた項目が盛り込まれている。平成24年度から事業を開始する予定だが、避難区域見直しのビジョンが示されず、前段階となる市町村と協議に入ることができない。
 県企画調整部の担当者は「平成24年を復興元年と位置付けているが、国の動きが見えず復興計画がどのぐらい進むか不透明だ」と嘆いている。

【背景】
 政府は昨年12月、東京電力福島第一原発事故の避難区域を見直す方針を決めた。4月1日にも警戒、計画的避難両区域を解除し、年間被ばく放射線量に応じた3区域を新たに設定するとしている。避難指示解除準備区域は子どもの生活圏の除染やインフラ復旧、事業再開と雇用確保対策を進めるとしている。居住制限区域は、除染やインフラ復旧に当たる。帰還困難区域は今後、少なくとも5年間の帰還が難しいとして、国が不動産の買い取りを検討する。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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