東日本大震災

「3.11大震災・断面」アーカイブ

  • Check

【サテライト校出願 大幅定員割れ】学校生活成り立つのか 部活など不安 少人数指導に望み

浪江高仮設校舎の建設現場=17日、本宮市の本宮高

 県立高入試の2期選抜(学力検査)の一次出願が締め切られた17日、サテライト校設置を継続する相双地区の各校は大幅な定員割れが相次ぎ、在校生らから「学校生活が成り立つのか」と不安の声が上がった。学校側や県教委は少ない生徒数でも学習や学校活動に支障が出ないよう、全力を挙げる考えだ。

■「覚悟していたが」
 定員39人に対し、志願者が4人にとどまった浪江高。高梨洋史校長は「覚悟はしていたが...。残念だ」と肩を落とした。
 同校は昨年末、福島大との連携によるキャリア教育の充実などを打ち出し、受験生にアピールしてきた。そのメッセージが十分届かない形となった。
 2期選抜で大幅に定員を下回った各校は3期選抜で定員確保を目指すが、定員割れの可能性は大きい。
 教育関係者の1人は、クラスの人数が少なければ生徒間の競争が減り、学習効果が落ちる恐れがあると指摘する。さらに、部活動は種目によって不可能になるほか、学校行事などの集団活動も十分にできないことがある。学校行事の一部は費用を保護者から集めているが、生徒数が少なければ、資金不足も懸念されるという。

■「さみしい」
 「校内に活気がなくなってしまうのでは」。福島市の福島北高のサテライト校に通う富岡高2年の女子生徒(17)は、志願者数の低さに表情を曇らせた。定員32人に3人しか出願しなかった。集団競技の部活動は野球以外も他校と合同で取り組むことが検討されている。ただ、チームを結成できるかは不透明だ。「スポーツが特徴の学校なのに...」
 坂下高にあるサテライト校で野球の練習に励む双葉翔陽高1年の箭内克樹君(16)も「1年生が少なくて十分な練習ができるのか」と不安そう。現在、野球部員は他のサテライト校を合わせて10人で、試合には出られるが、「新入生が少ないのはさみしい」と話した。
 郡山市のあさか開成高の双葉高サテライトに通う浪江町の女子生徒(17)は「こんな時でも双葉高を選んでくれた人がいるのはうれしい」と笑顔を見せるが、生徒数が大幅に減る中で、「震災前のような学校生活が送れるのだろうか」と不安も口にした。

■創意工夫
 今春、本宮市の本宮高に仮設校舎を設置する浪江高は少ない人数を逆手に取り、個別指導を強化する考え。部活動は個人種目に重点を置く。生徒数に応じて教員が急激に減らないよう、県教委に対し教員の維持を要望しているという。
 富岡高の誉田秀隆校長は「サテライト校に対する受験生の不安を払拭(ふっしょく)できなかった」と受け止めた。同校の3年生は現在、進学、就職ともに比較的順調に決定している。「サテライトでも実績は残せる。引き続き、指導を充実させる」と意気込んでいる。
 定員29人に志願者が2人だけだった双葉高の山崎伊佐夫校長は強調した。「学校行事や部活動で影響は出るかもしれないが、創意工夫で乗り越える。生徒一人一人を大切にサポートしたい」

■減る受験生
 サテライト校を敬遠した避難者が多く志願すると見込まれた、いわき市の各校の倍率に大きな変動はなかった。むしろ倍率が前年に比べ下がった高校が目立った。ある高校の教頭は「双葉郡から、いわき市に通う生徒は以前から多い。避難により、受験生自体が少なくなっているのではないか」と分析した。
 「原発事故がなければ、長女も浜通りの高校を志願したはず」。会津美里町の仮設住宅で避難生活を送る楢葉町の磐城進一さん(45)は会津地区の県立高を志願した長女の気持ちを推し量る。「伸び伸びとできる地域で高校生活を楽しんでほしい」と望んだ。

カテゴリー:3.11大震災・断面

「3.11大震災・断面」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧