■郡山市 バンド18組「福島ロッカーズ」呼び掛け 福井公伸さん(48)
愛する君を守っていくために ここで生きてく 君と生きてく-。
郡山市のライブハウス「CLUB#9」。12日に開かれた「希望の唄」の発売記念ライブに詰め掛けた若者の歌声が、フロア全体に響く。ライブハウスを運営する福井公伸さん(48)の呼び掛けで18組のバンドが「福島ロッカーズ」を結成し制作したチャリティー・ソングだ。福井さんは「支援してくれる全国のミュージシャンへのアンサーソング。福島の今を聴いてほしい」と話している。
希望の唄は、郡山市を中心に活動するパンクバンド「ACROBAT ATHLETE」が作曲、ポップバンド「ひとりぼっち秀吉BAND」の秀吉さん(23)が作詞を担当した。長く歌われ続けてほしいと、歌詞にはあえて福島や震災、原発の言葉を使っていない。各バンドが一節ごとに交代で歌い、ラストは市民約100人のコーラスが吹き込まれている。
福島ロッカーズの出演は発売記念ライブ限り。CDは12日、全国のタワーレコードで発売された。1枚500円(税込み)で収益は県に義援金として寄付される。
プロジェクトを呼び掛けた福井さんは宮城県石巻市出身で、結婚を機に郡山市に住んだ。子ども2人の父親でもある。東京電力福島第一原発事故の後、県外に住む友人から避難を勧められたが、悩んだ末に地元に残ることを選んだ。自宅や通学路の除染など、できることに取り組んでいる。
福井さんは避難所の慰問コンサートで涙するお年寄りの姿を見たり、「LIVE福島 風とロックSUPER野馬追」に参加した経験から音楽の力を再認識したという。「覚悟を決めてここで生きている人がいることを全国に訴えたい」と語っている。
(カテゴリー:連載・今を生きる)