東日本大震災アーカイブ

県外は5月開始 18歳以下の甲状腺検査 居住先把握など課題

 東京電力福島第一原発事故により、県外にいる18歳以下の子どもの甲状腺検査が5月にも避難先などで始まる見通しとなった。県が13日の県議会子育て・健康・医療対策特別委員会で示した。各都道府県の医療機関約100カ所で超音波検査を実施し、平成25年度内に完了させる。ただ、県外避難者の正確な居住先の把握などの課題があり、受診率の向上に向けた取り組みが必要となる。
 県は総務省と市町村から、県外の子どもの住所の情報の提供を受け、甲状腺検査の受診票を送る。しかし、転居を届け出ずに自主避難した子どもがいるとみられ、全ての住民の避難先は把握できていないのが現状だ。
 県は当初、原発事故直後の被ばく量を調べる基本調査の返送によって自主避難者らの居住先を把握する予定だった。しかし、本格的な調査が始まって半年余が過ぎた6日現在、返送率は21・5%にとどまっている。
 年度替わりで転居する人の増加が見込まれることや、郵便配達の転送サービスが終了することで、県外に居住する県民の把握が一層困難となるという。
 医療機関までの交通費の負担も課題だ。県外での検査費用は無料だが、医療機関までのバスや電車の料金や車のガソリン代など交通費は支払われない。居住地から離れた医療機関しか選べない避難者に検査が敬遠される懸念もある。

■県内居住者は昨年10月開始

 県は18歳以下の子ども約36万人を対象に甲状腺検査を実施する方針で、県内居住については昨年10月から検査が始まっている。
 これまで県外は避難先から福島医大を訪れ、検査を受ける必要があった。

■100カ所で検査実施

 県外に避難した18歳以下の子どもの甲状腺検査は、日本甲状腺学会など6専門学会の協力を受け、甲状腺の専門医がいる医療機関約100カ所で実施する。各都道府県に原則一カ所、避難者が多い山形、新潟両県や東京都などには複数箇所の検査場所を設ける。
 対象者は1万人超の見通し。5月にも避難区域などがある田村、南相馬、伊達、川俣、広野、楢葉、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の13市町村の県外避難世帯に対して受診票の先行発送を始める。この他の市町村は放射線量などから検査の順番を決めるという。検査データを福島医大で分析し、2カ月程度で対象者に結果を知らせる

カテゴリー:福島第一原発事故