■熊本発の高校生活動に賛同 武田雅広君(磐城農高学友会長)
26日の昼下がり、いわき市の南台仮設住宅で高校生と避難者が一緒になって、プランターに花や野菜の苗を植えた。久しぶりの「土いじり」で笑顔が広がる。いわき市の磐城農高2年で学友会会長を務める武田雅広君(17)は「農業は人の心を癒やしてくれる」と感じながら作業に励んだ。
プランターづくりは熊本県の8代農高が東日本大震災の被災地で繰り広げる「元気づくりプロジェクト」の一環。両高の生徒10人が仮設住宅を訪ね、避難者十数人と作業した。
最初こそ会話はぎこちなかったが、震災前に自宅で農家や家庭菜園をしていた人が多く、次第に打ち解け合った。パンジーやプリムラ、レタス、ニラなどあっという間に50個のプランターが出来上がった。
東日本大震災により、磐城農高は校舎に亀裂が入った。4月11日の地震でさらに壁が崩れ、一部を除き立ち入れなくなった。食品製造棟も崩壊し、実習室にあった農作業に使う機械が壊れた。東京電力福島第一原発事故も追い打ちとなった。
心が沈む日々。何かしなければと考えていた折、プロジェクトの誘いが届き、即座に参加を決めた。今回のプランターづくりから高校生活は残り1年。「除染の仕方や放射能に強い作物の研究など人のためになることをしたい」と武田君は目標を見定めた。
約2時間半の作業で仲良くなった避難者と、仮設住宅の周辺で一緒に野菜を栽培したいとも考えている。「一緒に野菜を販売できる日が来たらいいな」-。土まみれの手で汗を拭った。
(カテゴリー:連載・今を生きる)