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放射線 放射性物質 Q&A 甲状腺がん以外の発症は

 チェルノブイリ原発事故の後に甲状腺がんの発症が増加したことは聞いたことがありますが、それ以外の病気が増えたりはしていないのでしょうか。現地はどのような状況になったのかを教えてください。

【回答者】県放射線健康リスク管理アドバイザー・長崎大大学院教授(放射線医療科学専攻)高村昇さん

■固形がんや白血病増など科学的に証明されてない

 チェルノブイリ原子力発電所があるウクライナという国は、旧ソ連邦にあり、首都はキエフという町です。昔から農業、酪農が盛んな国で、「ヨーロッパの穀倉地帯」とも呼ばれます。先日、私はウクライナを訪れましたが、事故から26年が経過した現在、キエフやチェルノブイリ周辺の町でも、特に空間線量率が高いということもありません。

 1986年4月26日の事故発生後、5年後くらいからウクライナ、ベラルーシ共和国で事故当時小児だった世代の甲状腺がんが増加したことはよく知られています。では、甲状腺がん以外のがんについては、増加が見られたのでしょうか? これまでの種々の疫学調査の結果、甲状腺がん以外の疾患の増加は科学的に証明されていません。

 事実、国連の専門機関である「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」は昨年、一つの報告をしています。この中で、事故当時に若年者であった世代の甲状腺がんの劇的な増加、それに原発作業者の白血病や白内障の増加の兆候はあるとしています。しかし、それら以外、住民での固形がんや白血病の増加は認められず、がん以外の疾患についても増加は見られないと結論付けています。

 原爆被爆者ではがんや白内障の増加が知られていますが、チェルノブイリの住民と原爆被爆者で増加した疾患が異なるのは、内部被ばくと外部被ばくの違いなどが背景にあるものと考えられています。

カテゴリー:放射線 放射性物質 Q&A

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