東日本大震災

「3.11大震災・断面」アーカイブ

  • Check

【中間貯蔵 政府要請】突然「3町設置」に困惑 将来の増設懸念 難しい意見集約 問題長期化か

 東京電力福島第一原発事故に伴う汚染廃棄物の中間貯蔵施設の建設問題で、政府から設置要請を受けた大熊、双葉、楢葉3町に困惑と国への不信感が広がっている。当初は「双葉郡内に1カ所」としていた方針が突然変更されたことで、関係者は「県内で除染が進めば、なし崩し的に増設を求められる恐れもある」との疑念を抱く。災害廃棄物の受け入れを求められた富岡町は想定外の事態に苦慮する。設置問題は長期化の様相も呈している。

■朝令暮改
 「国の対応は朝令暮改の典型だ」。楢葉町の担当者は戸惑いを隠さない。細野豪志環境相兼原発事故担当相は昨年暮れ、中間貯蔵施設の設置場所として「双葉郡内で年間の積算放射線量が100ミリシーベルト以上の地域から1カ所を選ぶ」とした。ところが今月開かれた政府と県、双葉郡8町村の協議会で突然、3町に分散設置する考えを示した。楢葉町の線量は高い場所でも年間15ミリシーベルト程度。関係者の多くは「町は設置の対象外」と見ていた。
 草野孝町長は設置に協力する意向を示していたが、町議会で町内への設置に反対する意見書を全会一致で採択したことで、先行きは不透明となっている。町議の1人は、国の突然の方針転換を受け、「今後、安全対策などの約束がほごにされることもありうる」と、反対の立場を打ち出した事情を説明する。

■寝耳に水
 「全く想定していなかった」。災害廃棄物の受け入れを求められた富岡町の担当者は「寝耳に水」だったと明かす。国からの条件提示や事前の打診などは何もなかったという。
 国は中心部から離れた町内の既存施設に安全対策を講じて廃棄物を搬入する方針だが、どの程度の量になるのか、環境への影響をどう抑えるのかなどの具体的な説明もない。要請されても検討する材料がなく、白紙の状態が続く。町議選が現在行われており、本格的な議論は選挙後になる見通しだが、選挙の動向が議論の行方に影響する可能性も取り沙汰されている。

■大きな壁
 各町は住民の意見を聞いて判断する方針だが、多くが県内外に避難している現状が大きな壁になっている。大熊、双葉、楢葉3町のうち、大熊町は住民説明会を検討しているものの、県内に約8000人、県外に約3000人が避難している中、説明会の開催を1人1人にどう知らせるか、どこで開催するのが適切かなどの難題を抱える。
 環境省は住民の理解獲得に全力を挙げる方針だが、現段階で具体的なスケジュールや手法は示されていない。政府の要請通りに福島第一原発南側に候補地が決まった場合、少なくとも数100人規模の地権者との交渉が必要になる。国は平成25年度中に用地を取得したい意向だが、町の担当者は「地権者との交渉には途方もない時間がかかる」との認識を示す。

管理態勢の説明必要 県除染アドバイザー
 県除染アドバイザーの田中俊一NPO法人放射線安全フォーラム副理事長は、政府の中間貯蔵施設の設置方針に対し「県内各地の除染で発生する汚染廃棄物の総量はあくまで最低限の見込み数値。今後も中間貯蔵施設の設置場所が増える可能性がある」と指摘する。
 現在の技術で放射性物質を安全に貯蔵することは可能とした上で、「国は除染のために施設が必要であることや施設の管理態勢を自治体や住民に十分説明するべき」とも説く。

カテゴリー:3.11大震災・断面

「3.11大震災・断面」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧