東日本大震災アーカイブ

無形民俗文化財、保存の危機 学会福島調査団が中間報告

調査の中間報告をする懸田団長

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受け、県内の無形民俗文化財の被災状況を調査している民俗芸能学会福島調査団は31日、福島市のアオウゼで中間報告会を開いた。
 1月中旬からいわき、相馬、南相馬など浜通り13市町村で合わせて72の民俗芸能を対象に関係者から聞き取り調査した。津波で道具や衣装が流されたり、原発事故の警戒区域指定に伴い担い手が各地に分散したりして、継承が困難になっている現状が浮き彫りになった。
 一方で、ほとんど全ての関係者に「何としてでも継承しなければならない」との意識があり、浪江町請戸地区の「請戸の田植踊」のように避難先で継承されているケースもあった。相馬市磯部の神楽など、復活に向け住民が熱心に取り組んでいるところもある。
 懸田弘訓調査団長は「民俗芸能は地域のまとまりをつくる核になる。継承のための支援が必要だ」と話している。調査は平成25年度まで続く。中通りや会津地方も調査対象となる。