東日本大震災アーカイブ

賠償金半分は退職金 警戒区域4病院

警戒区域内にある病院の厳しい経営状況が示された協議会

 警戒区域にある県内病院が、職員の退職金がかさんだり、社会保険料の免除措置が打ち切られたりして経営難が深刻化してる現状が、9日、福島市で開かれた東電原発事故被災病院協議会の会合で報告された。
 県病院協会の会員病院でつくる組織。警戒区域にある今村病院(富岡)、西病院(浪江)、小高赤坂病院(南相馬)、双葉病院(大熊)の4病院の経営状況が報告された。
 4病院で8月末までに逸失利益として東京電力から賠償金8億3076万円を受けたが、その50%程度に当たる約4億400万円が退職金の支払いに回されたほか、25%に当たる約2億500万円が負債の返済、14%分の約1億1600万円が税金の支払いで消えた。残りで雇用を続けている職員らの賃金などを払わなければならず、経営状況が逼迫(ひっぱく)しているという。
 4病院で震災前に461人いた職員が、自主退職や解雇などで145人にまで減り、退職金の支出が膨大になっている。各病院は賠償金以外に収入の見通しはなく、今後も経営は悪化する見込みという。
 この日の会合では退職金分も含めた賠償や、賠償に対する課税免除・減免などを東京電力や国に求めていくことなどを決めた。

カテゴリー:福島第一原発事故