東日本大震災アーカイブ

区域再編、賠償が条件 富岡町 「不動産一律」以外応じず

 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の再編で、富岡町は10日、郡山市の町郡山事務所で町災害対策本部会議を開き、帰還困難、居住制限、避難指示解除準備各区域の土地、建物などの不動産に対する一律賠償が実現しない限り区域再編に応じないことを決めた。区域に応じて賠償に差が出るのは町民を分断することにつながると判断し、町として機関決定した。一律賠償について国は明確な方針を示しておらず、町の区域再編の行方は不透明感を増している。

 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が先月決定した賠償指針では、帰還困難区域の不動産価値を「(原発)事故直前の価値の全額を賠償する」とした一方、居住制限、避難指示解除準備両区域は「事故により一定程度減少した分」に限定した。遠藤勝也町長は、この指針に基づく賠償では区域によって差が生じ、町民が分断されるとして、一貫して国に一律賠償を求めてきた。国が明確な方針を示さないことなどから、町として厳しい姿勢を打ち出したとみられる。
 町災害対策本部会議では、賠償問題のほか(1)福島第一原発の安全性が担保されているかどうか不透明(2)警戒区域が解除され、町民が自由に区域内に出入りすれば町民の健康管理が不十分になる-との懸念も区域再編に応じない理由に含めた。このため、賠償問題が決着しても、直ちに区域再編につながるかどうかは見通せない状況だ。
 町は今後、広報紙や住民説明会などを通して町の方針を町民に説明する。非公開での会議後、取材に応じた遠藤町長は「土地も建物も公平に賠償すべき」と強調するとともに「国は町民の声をしっかり受け止めて対応してもらいたい」と述べた。
 政府と町は、町内を帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に分ける方向で協議している。全体を帰還困難区域にすることに対して遠藤町長は、「全町が帰還困難区域になれば除染が進まない。除染して帰還したいという町民も多い」と否定した。

※賠償指針
 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会は3月16日、避難区域再編に伴う賠償指針を決定した。精神的損害の賠償額は、最低5年間は帰宅不可とされた帰還困難区域が5年分一括で1人当たり600万円、居住制限区域が2年分を一括払いで1人当たり240万円、避難指示解除準備区域が毎月払いで1人当たり10万円とされた。月単位の額で比較すると、3区域とも1人当たり毎月10万円となり、区域に応じた差はない。これに対し、不動産関連の賠償は区域に応じて差が出ている。

カテゴリー:福島第一原発事故