東日本大震災アーカイブ

浪江町が国、県を刑事告発検討 SPEEDI公表遅れの責任所在明確に 

 東京電力福島第一原発からの放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算結果が事故直後に伝えられなかったことに対し、浪江町が国や県の刑事告発を検討していることが11日、分かった。
 町によると、原発事故後、放射性物質が大量に飛散した北西部の浪江町津島地区などに多くの住民が避難した。町は試算結果が伝わらなかったことで無用の被ばくを受けたと指摘。避難先を転々としたことで震災関連死が起きた可能性もあるという。馬場有町長は「住民に健康被害が出たときのためにも、国や県の対応に瑕疵(かし)がなかったか、歴史に証拠を残さなければならない」と国、県の責任の所在を明らかにしたいとしている。
 現在、町の支援を名乗り出ている大学の法律の専門家グループが法的責任を問えるかどうかや、告発する場合の罪名、対象などを検討している。町は5月中にも意見を聞いて刑事告発の有無を含めて対応を決める方針。
 国は当初、試算を公表せず、県も事故発生後の3月12日から16日までに国から送られたデータを消去した。このため、浪江町など原発周辺自治体に情報が伝わらなかった。

カテゴリー:福島第一原発事故