東京電力福島第一原発事故で全町避難している浪江町は、全町民の医療費無料化に向けた法整備を近く国に要請する。全町民に「放射線健康管理手帳」を配布し、被爆者援護法に基づく原爆の被爆者健康手帳と同様の措置を求める。町は双葉郡の他の7町村や、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)で放射性物質の拡散が予測された飯舘、川俣両町村に連携を呼び掛けており、双葉町や富岡町は浪江町とともに国に要請する方針。ただ、実現には財源確保や認定基準をどうするかなど課題も多いとみられ、国の対応が注目される。
■双葉、富岡も同調方針
浪江町は双葉郡の他の7町村にも同調を働き掛けている。浪江町によると、双葉町は浪江町とともに国に要請する方針という。
福島民報社の調べでは、富岡町は「浪江町の考えに対して異論はない」として、共に法整備を求めていく考えだ。楢葉、葛尾両町村は「他町村の動向をみたい」とし、広野、川内、大熊各町村は「予定なし」「白紙」などとしている。SPEEDIで放射性物質の拡散が予測された飯舘村、川俣町のうち、飯舘村は要請を検討しているという。
ただ、医療費無料化には財源確保が課題になるとみられる。仮に浪江町の全町民を対象にした場合、約2万1000人に上り、他の町村も加われば、さらに対象者は増える。
原発事故発生時に放射性物質の拡散が予測されていた地域以外に避難していた町民も対象とするのか、原発事故と疾病との因果関係をどう認定するのかなどの基準づくりも必要になるとみられる。
(カテゴリー:福島第一原発事故)