東日本大震災

  • Check

今を生きる 支え合い満100歳 101歳妻と避難所点々

赤いちゃんちゃんこを着て100歳を喜ぶ信さん(左)。101歳の妻ツルさんが寄り添い、賀寿を祝った

■大熊から若松の借り上げ住宅へ 吉田信さん
 大熊町の吉田信さんは27日、避難先の会津若松市で満100歳を迎えた。寄り添う妻ツルさんは101歳。2人合わせると201歳になる。「大熊で迎えたかったなぁ」。残念がる信さんの頭の上の赤い帽子にツルさんが手をやると、照れくさそうに笑った。「今年は会津の日本酒を片っ端から飲んでやるか」-。
    ◇   ◇
 自宅は東京電力福島第一原発から約2キロの警戒区域内にある。あの日以来、戻っていない。長男信雄さん(75)らと最初に移った田村市の避難所は硬くて冷たい床張りだった。
 町民がごった返し、眠れなかった。2人とも耳が遠く、普段は大きな声で会話する。しかし、避難所では「周りに迷惑が掛かるから」と大声を出して話せなかった。会話は次第に減ったが、一緒にいるだけで心は安らいだ。その後、千葉県の親戚宅、会津若松市の旅館と避難生活を共にした。
 幼なじみだった2人は、昭和10年に結婚した。ツルさんは1つ年上の姉さん女房だ。「物心ついたときから、『おツルねぇさん』と呼んで遊んでいたよ」。信さんは、昨日のことのように思い返す。
 東京で英語教師として働き、38歳のときにツルさんらを連れて、故郷の大熊町に戻った。町内をはじめ、浪江町や富岡町の中学校で教壇に立ち、57歳で退職した。
 福島第一原発の建設が始まったのも、動きだしたのも、退職後のことだった。「原発で避難生活を強いられているが、町が潤ったのは事実」と、心境は複雑だ。
    ◇   ◇
 「長寿の秘訣(ひけつ)は、くよくよしないこと」。ツルさんが信さんにアドバイスする。「夫婦円満の秘訣は、奥さんに口答えしないこと」と、隣で信さんが目尻を下げる。
 「原発が廃炉になるのを見届けるまでは、長生きしないと...」。201歳の2人が笑うと、お祝いに駆け付けた家族や関係者も笑顔になった。

■知事賀寿など贈呈
 信さんへの知事賀寿贈呈式は27日、信さんらが暮らす会津若松市の借り上げ住宅で行われた。金木明県相双保健福祉事務所長が知事賀寿を手渡し、渡辺利綱町長が祝い金を贈った。

カテゴリー:連載・今を生きる

「連載・今を生きる」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧