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【県内市町村の当初予算】8割が前年度超え 除染・復旧事業増大 基金取り崩し補てん

 県内59市町村の今年度の一般会計当初予算で、除染・復旧事業の増大などから約8割の46市町村が前年度を上回っていることが福島民報社の調べで分かった。ただ、市町村の税収は東日本大震災や東京電力福島第一原発事故などの影響で大幅に落ち込む見通しで、国の交付金の配分動向が不透明な中、基金の取り崩しなどによる財源確保を強いられるケースも少なくない。除染や復興事業は長期化が予想され、財源確保に向けた国の対策強化を求める声も上がっている。

■膨張

 川俣町の当初予算額は248億3700万円で、前年度の4.4倍に上る。計画的避難区域の山木屋地区などの除染費用として全体の6割に当たる約150億円を新たに計上したため、大幅増となった。町は「これほどの予算規模になったことは過去にない」と説明する。
 新地町は3.4倍の141億3600万円を計上し、このうち7割に当たる101億円が復旧・復興事業費だ。津波被災地の防災集団移転や災害公営住宅の整備などを促進する計画だが、膨張した予算を現在の職員数で効率的にどう事業化するかの課題も抱える。
 このほか、いわき市の当初予算は1718億1100万円で前年度の1.4倍。復旧・復興事業費は558億9000万円で全体の約3分の1を占めている。
 各市町村は国・県の補助金に加え、地方交付税や震災復興特別交付税などを財源に見込んでいる。現在、交付税の算定に必要な財政需要を積み上げている段階で、交付額は決まっていない。震災と原発事故からの復旧・復興関連事業がどの程度の規模になるかの見極めは難しく、見込み通りの交付額になるかどうかも不透明だ。天栄村は「除染は全額国庫を見込んでいるが、対象外の経費が発生した場合、財政運営に大きな影響が出る」と懸念する。

■税収激減

 当初予算が膨らむ一方、55市町村が税収減となり、財源確保への対応を強いられている。
 南相馬市の税収見込み額は46億2100万円で、震災・原発事故前の22年度実績の半分程度にとどまる。固定資産税は警戒区域の土地・建物への課税を免除したほか、津波で大きな被害を受けた原町火力発電所の償却資産減などにより35億円以上ダウンする見通しだ。
 原発事故で事業所の閉鎖や休業が相次いだことで個人所得も減り、法人、個人両税ともに大幅減になると予測する。
 伊達市は、原発事故で拡散した放射性物質による農作物の作付け制限や出荷停止、風評被害による販売額の減少も個人税に響くとみている。
 除染や復旧・復興関連事業には国の支援があるが、それ以外の事業は自主財源が大きな比重を占める。税収減を補うため、予算編成では、全体の6割強の38市町村が自治体の貯金に当たる財政調整基金を取り崩した。

■交付金弾力化を

 復旧・復興関連事業への今後の財政需要や国の支援策をはじめ、税収回復の先行きが不透明な中、交付金の弾力的運用を求める声も出ている。
 国の復興交付金は震災復旧関連の40事業に限定し、原発事故被害に関連した事業は含まれていない。中島村は「対象事業が限られており運用が難しい部分がある。各市町村単位の自由裁量で運用可能な交付金制度にしてほしい」と求める。
 市町村は事業の組み替えや縮小・廃止、人員・事務経費の削減などの構造改革も迫られている。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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