東日本大震災アーカイブ

県の家賃支払い滞る 民間借り上げ住宅4、5月分8200件

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受け、県が民間から借り上げているアパートやマンションの家賃支払いで、4月末に県が支払うはずだった4、5月分の約8200件が滞っていることが3日までに分かった。県は「契約更新と家賃支払いが重なり作業が遅れている」と釈明している。
 県によると、民間の借り上げ住宅は当初、今年3月末でいったん契約を打ち切り、平成24年度以降は入居期間をそろえて契約更新する作業を進めていた。県は年明けから貸主や不動産業者に更新手続きの書類を提出するよう通知したが、3月下旬から4月にかけて書類が集中し事務処理が追い付かなくなったという。
 厚生労働省は原則2年だった仮設住宅の入居期限を1年間延長し、3年としたのに合わせ、県は民間借り上げ住宅の入居期間を今年度から2年間とする新たな契約手続きを進めている。借り上げ住宅約2万5千件のうち、約2万3千件で契約更新手続きが必要となる。
 現在、従来の2倍近い約80人の職員が事務作業を行っている。3日までに約1万4800件の事務処理は済んだが、残りの支払いは今月中旬にずれ込む見通し。
 県の担当者は「ご迷惑を掛けて申し訳ない。一日でも早く支払いできるよう全力を挙げたい」と話している。
 県は3月までは、1カ月の家賃を前月末に支払っていたが、今年度からは2カ月分をまとめて支払う。
   ◇  ◇
 県は4月26日付で貸主や不動産業者らに文書を送付し、作業の遅れを謝罪した。支払いについては「速やかに完了させる予定」とし、時期を明示していない。福島市の不動産業者は「家賃収入で生活設計を立てている貸主が多くいるので支払いが滞ると困る。速やかに作業を進めてほしい」と求めている。