東日本大震災アーカイブ

廃業旅館活用で復興 土湯温泉が再生機構

 福島市の土湯温泉町復興再生協議会は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故からの温泉街の復興を目指し、廃業旅館の活用や再生可能エネルギーの導入などを柱にした「土湯温泉町スマートコミュニティ構想」に基づき各種事業を推進する。10日、市土湯温泉町支所で開いた会合で決めた。
 構想は福島大うつくしまふくしま未来支援センターの渡辺正彦客員教授(東邦銀行常務)らが示し、おおむね了承を得た。廃業旅館の活用では債権者と交渉を進め、住民らでつくる事業主体が不動産を購入。日帰り温泉と一体化した温泉センターなどに転用する。
 温泉水を活用し野菜を栽培する植物工場の開設、高齢者向けの温泉付き集合住宅の建設なども検討。蒸気や熱水で電気を作るバイナリー発電を活用した温泉街のエネルギー完全自給化も盛り込んだ。
 構想実現に向けては、資金などが大きな課題になる。今後、復興関連交付金の活用など財源確保への検討を重ねて構想の具現化に取り組む。
 協議会の加藤勝一会長は「温泉街再生への第一歩になる。地元の合意を形成して再生計画を実現したい」と意欲を語った。
 土湯温泉では、震災や原発事故に伴う風評被害などの影響を受け、旅館16軒のうち5軒が廃業し、1軒が長期休業に追い込まれている。