東日本大震災アーカイブ

小学校運動会、今年は屋外で 時間短縮や体育館併用など工夫

校庭のトラック周囲に粘土質の土を混ぜる作業員=南相馬市鹿島区・八沢小

 小学校の運動会シーズンを迎え、東京電力福島第一原発事故の影響で昨年は中止や屋内開催だった県内の小学校が、今年は屋外グラウンドでの実施に踏み切るケースが相次いでいる。依然として保護者らの放射線への不安はあり、開催時間の短縮や、体育館の併用など、工夫をしながら屋外開催に戻している。
 福島市内では昨年、全51校の約3分の2が中止や屋内開催だったが、今年は全校が屋外で実施する。市教委によると、除染で校庭の放射線量が下がったなどとして各校が判断。今週末から開催が続く。
 松川小は時間短縮のため大人の参加競技を一部やめ、間隔を詰める。大波小はリレーなど一部をグラウンドで実施する以外は体育館を使う。
 昨年、全公立小16校で開催自体を中止した南相馬市は、5校が屋外開催、8校が校庭と体育館を併用する。体育館だけの開催は3校。二本松市は昨年、小学校16校のうち、ほとんどが屋内開催だったが、今年は屋外が6校で、屋内・屋外併用が4校、屋内が6校。
 伊達市の石田小は昨年同様に体育館で開く。保護者にアンケートをしたところ、屋内開催を望む声が多かった。学区内には特定避難勧奨地点が点在し、保護者にとって不安は大きい。校庭の除染後、屋外での体育の授業は週3回のうち1回にとどまる。郡山市の橘小も保護者アンケートで、昨年同様にカルチャーパーク体育館で開くことを決めた。
 校庭の除染作業による弊害も出ている。表土を入れ替えたばかりの一部の校庭では地表が十分に硬くならず、走りにくい状態に。南相馬市の八沢小では、試験的にトラック周囲の表土に粘土質の土を混ぜ、土壌改善をしている。

カテゴリー:福島第一原発事故