政府が計画している楢葉、広野両町沖の洋上風力発電実証研究事業で、受託事業者側が地元漁協に「配当」の支払いを検討していることが10日、分かった。平成27年度以降に営利事業化された場合、漁場提供分として金額を算定する。同日、経済産業省と県が相馬市コミュニティセンターで開いた相馬双葉漁協への説明会で、受託事業者の丸紅が明らかにした。
県関係者によると、説明会で漁業者から補償に関する質問が出され、丸紅の担当者が「漁業者が対象海域で操業する権利を発電事業者に出資する形になる。それに見合った配当を考えている」と応じた。ただ、具体的な金額は示さず、実証研究段階は対象外とした。
洋上風力発電をめぐっては、漁業海域が狭くなるとして漁業者から反発が出ている。事業者側には、操業できない海域分を配当の支払いで補償する狙いがあるとみられる。
今回の説明会はいわき市に続く開催で、非公開となった。県の担当者が事業概要を説明し、既存の漁業と共存しながら再生エネルギーを推進する構想を示した。出席者によると、漁協関係者から「漁場への影響が懸念される」「出漁自粛や風評被害に苦しむ漁業者の気持ちを考えていない」など批判的な声が相次いだという。
南部房幸組合長は終了後、福島民報社の取材に対し、「底引き網漁の貴重な漁場であり、事業自体や配当は簡単に理解できるものではない。あらゆる角度から検討したい」と語った。
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