東京電力福島第一原発事故を受けた「仮の町」建設構想で、富岡町の遠藤勝也町長は10日、郡山市で開かれた町議会全員協議会で町内に限らず広野、楢葉、川内3町村など双葉郡内の低線量地区に設けることも選択肢の一つとして検討する考えを示した。3町村とも要請があれば前向きに協議する方針だ。
全員協議会で町議が「広野や楢葉などの低線量地区を除染して仮の町をつくるのも選択肢ではないか」と提案。遠藤町長は「同じ考えを持っている。古里に帰りたいという住民のためになる」と応じた。低線量であれば企業誘致も十分可能とし、町村の枠を超えて仮の町の設置を前向きに検討する意向を示した。
遠藤町長の発言に対し、楢葉町の松本幸英町長は「直接、話を聞いていないのでコメントはできない」としながらも、要請があった場合は「前向きに話し合いに応じる」との姿勢を強調した。
広野町の山田基星町長は「広野は双葉郡の南の玄関口。地域全体の復興に向けて重要な位置にある」と指摘。「(他の自治体の要望に対し)受けられることは受け、手伝えることは手伝う気持ちは持っている。双葉は一つの考えで協力は惜しまない」と話す。
川内村の遠藤雄幸村長は「これまでも(自治体同士でつくる)双葉地方広域市町村圏組合が機能しており十分に対応できる」とし「仮の町や災害住宅などを含めて今後、正式に要請があれば可能な範囲で応えていきたい」とした。
仮の町建設を受け入れる際の課題としては、3町村長ともに膨大な財源確保を含めた国の全面的な支援が必要との認識を示した。
富岡町は全国各地に避難している町民を3地域に集めて生活させる町サテライト計画を進める方針で、想定する仮の町の設置場所についてはこれまで町内の低線量地区、いわき、郡山両市の計3カ所としていた。
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