東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示解除準備区域の地域再生に向けて政府は14日、宿泊を伴わない事業所の事業再開を市町村長の判断で認めることを決めた。避難区域再編後の地域の復旧・復興に必要な事業再開を迅速に進め、住民帰還につなげる狙いで、田村、南相馬、川内の関係市村に通知した。
市町村長の判断で事業再開を認める範囲は小売店、飲食店、入院を伴わない医療施設など事業所全般とする。避難指示解除準備区域は自由に出入りできる一方、宿泊できない制限があるため、宿泊施設のホテルや旅館、入院を伴う医療施設は対象外となる。
事業者は事業所の所在地、事業内容、再開を望む理由を記入した専用用紙を市町村長に提出する。市町村長は復旧・復興や住民の一時帰宅に必要な事業と判断した場合、再開を即決できるようにする。
区域内での事業再開では、工場や製作所などは制度上、申請がなくても操業が可能となっている。
避難区域再編で田村、川内両市村は4月1日付、南相馬市は同16日付で避難指示解除準備区域が設定された。政府がこれまで事業再開を認めてきたが、事業者が判断に迷うケースが相次いでいた。手続きを迅速に進めて復興につなげる観点から市町村長に判断を委ねることにした。
関係市村からは歓迎の声が上がる一方、除染促進などの要望も出ている。
南相馬市の桜井勝延市長は「市の要望が認められた。復旧・復興に取り組む上で一歩前進」と受け止める。
田村市の担当者は「雇用確保のためにも事業所再開は重要。要望があれば事業所の再開を弾力的に検討したい」と話す。
一方、「帰村宣言」している川内村の担当者は「人が戻って来ない地域では、事業所が再開しても採算が取れない」と除染の推進を求めている。
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