東日本大震災アーカイブ

今を生きる 仮設住宅に花の装い 灰色の壁、一転鮮やか 昨年12月から交流

完成した絵を喜ぶ宮代仮設の住民と保原高の生徒

■保原高美術部長 津田実沙紀さん(3年)ら
 保原高の美術部員が12日、福島市の宮代仮設住宅の壁面に絵を描き、完成させた。3年の津田実沙紀美術部長は「一生懸命描くことができた。住民の皆さんからも励ましていただき大きな達成感でいっぱい。こちらが感謝したい」とほほ笑んだ。
 同仮設住宅の入居率は約3割。戸数の割に住民は少なく、「仮設住宅の壁は単調な灰色で殺風景」との意見が住民から寄せられていた。このため佐藤優一郎自治会長らが「何とかできないか」と考えていた。昨年12月から5回にわたり仮設を訪問し、がれきに花を描いたり、メッセージを添えた壁掛けを製作したりして交流を深めてきた同校美術部に相談。部員らが空き住宅の壁に絵を描いてくれることになった。自治会は県や町の了解を取り、図案なども部員らと打ち合わせた。
 晴れたものの季節が逆戻りしたような冷たい強風が吹く天気となった12日、20人の部員と顧問の番匠あつみ教諭が午前中から6時間半、壁に向き合った。「癒やしとぬくもり」をコンセプトに色鮮やかなチューリップ、コスモスなどを描いた。
 多くの住民らが見守り、作業の合間にはにぎやかな会話を交わしながら作業は進んだ。完成した絵を見ながら佐藤自治会長は「心に温かいものを感じる」としみじみ語った。

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