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【安全への問い掛け2】県の関与、限られる 安全協定見直しの声

福島第一原発の状況を確認する県職員ら=5月21日、県提供

 東京電力福島第一原子力発電所は、事故から1年3カ月が過ぎようとしている。だが、4号機燃料プールの冷却設備や温度計の不具合などが相次ぐ。政府や東電が掲げる工程表の通りに収束作業が進むかどうかに、県民は不安を抱く。
 5月21日、防護服を身に着けた一行が福島第一原発の敷地に入り、建屋などを回った。県原子力安全対策課長の小山吉弘(59)ら県職員と、立地地域の大熊、双葉、楢葉、富岡の各町の担当者だった。
 事故処理や収束作業の進め方は法令などに基づき、国と東電が全ての責任を負う。県や立地町には法的な権限はない。
 小山をはじめ県と町の担当者は、東電と結んでいる安全確保協定の取り決めを根拠に、発電所内の様子を調べた。

■監視の手だて
 安全確保協定は、福島第一原発と福島第二原発の発電所ごとに、県と立地町、東電の三者が結んでいる。正式には「発電所周辺地域の安全確保に関する協定書」。略称で三者協定とも呼ばれる。
 協定の中で、県と立地町は原発に立ち入り調査できると、明記されている。調査は「発電所周辺の環境放射能及び温排水等に関し、異常な事態が生じた場合」「発電所の保守及び管理の状況等について特に必要と認めた場合」が対象だ。
 福島第一原発事故の以前は、年1回程度の定期的な調査を中心に、トラブルや不祥事などに応じて立ち入り調査が行われた。
 立ち入り調査は書面などによる事前通告が原則だ。立ち入り調査よりも簡単な手続きで速やかに行える随時の「状況確認」も協定に盛り込まれている。
 福島第一原発事故の発生以降、状況確認は7回に上る。小山は「福島第一原発の危機管理にはまだまだ問題がある。これでよいと言えるものではない」と、今後も県や立地町の立場で監視を続ける考えを強調する。

■全国初
 県と東電の二者による初めての安全確保協定は昭和44年4月に、全国の立地地域で初めて結ばれた。本県で最初の原発である福島第一原発1号機の建設が進められている時期だった。12月には原子力発電所安全確保技術連絡会を設け、県は環境放射能などの評価・解析を始めた。
 だが、いざ協定を使い始めると、県が関わることのできる分野は限られた。連絡会で議論されるデータは東電の測定結果だけだった。東電は、その年の6月に、屋外放射線監視装置(モニタリングポスト)6基を設置していた。
 安全確保協定は東電に原発周辺の環境放射能の測定を義務づけたものの、県や立地町が自ら環境放射能を測定できる項目はなかった。そもそも、県は自らデータを測定し、評価・解析するシステムを持ち合わせていなかった。
 また、県には東電の放射能測定の立ち会いや周辺の監視施設の状況確認は認められたが、発電所への立ち入り調査は明記されていなかった。さらには、地元の立地町は協定にさえ加えられていなかった。
 「県の立場が弱すぎる。協定を見直すべきだ」。昭和47年6月に新設された県生活環境部環境保全課の企画調整班から改定を求める声が上がった。
 企画調整班は原発の安全対策を担うために、県が初めて設けた部署だった。班に所属する落合良二(68)ら職員は協定の見直しなどの監視体制づくりに取り掛かった。(文中敬称略)

カテゴリー:3.11大震災・福島と原発

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