東日本大震災アーカイブ

今を生きる くじけず部活、つかんだ切符 感謝胸に東北大会へ

東北大会での健闘を誓う猪狩君

■転校先の湯本高ソフトテニス部 猪狩裕人君17(富岡出身)
 東京電力福島第一原発事故の影響でいわき市の借り上げ住宅に避難している、富岡町出身の猪狩裕人君(17)は転校先の湯本高からソフトテニスの東北大会に出場する。避難生活に負けず部活を続け、つかんだ切符。「努力をすれば道は切り開ける」。古里復興の道のりも同じだと信じている。
 富岡一中に入学してからソフトテニスを始め、進学先の双葉高でも競技に没頭していた。しかし、昨年3月の東日本大震災と原発事故で県外へ避難することになり、ボールを打てない日々が続いた。昨年5月にいわき市内の双葉高サテライト校で学び始めたが、本格的に部活に取り組める環境を求め、同月中に市内の湯本高への転校を決意した。
 新しい学校で受け入れてもらえるだろうか-。その不安を吹き飛ばしてくれたのは、転校後初の大会となった昨年6月の県総体いわき地区予選。声をからして応援してくれるチームメートの姿に、仲間との絆を実感した。
 3年生になった今年の6月、インターハイを懸けた県高体に出場した。富岡町から県外に避難している知人や双葉高の先輩たちの応援を受け、個人戦(ダブルス)9位に入った。インターハイまではあと一歩届かなかったものの、東北大会への出場権を得た。
 東北大会は16日から山形市で開かれる。「湯本高、そして双葉高。2つの学校の代表として、1回でも多く勝ちたい」。支えてくれた人たちへの感謝を胸にコートに立つ。

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