東日本大震災アーカイブ

5年後、32%帰還難しく 避難区域住民 年間20ミリシーベルト超地域残る

 政府は9日、双葉郡8町村など東京電力福島第一原発事故の避難区域を抱える11市町村の放射線量に基づく今後20年間にわたる避難区域別人口分布を公表した。政府が住民帰還の目安とする5年後(平成29年)で、現在の避難区域人口の32%に当たる約2万7500人の居住地が、避難区域設定の基準となる年間積算線量20ミリシーベルト超のエリアに入り帰還が難しいとしているほか、福島第一原発の立地する大熊町は97%、双葉町は75%が地元に戻ることができないと試算している。
 福島市で開いた「国と県・双葉郡8町村」、「国と県・田村・南相馬・川俣・飯舘各市町村」の両協議で明らかにした。
 11市町村合わせた避難区域人口は8万5988人で、「年間積算線量50ミリシーベルト超」(帰還困難区域)、「同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下」(居住制限区域)、「同20ミリシーベルト以下」(避難指示解除準備区域)の3区域ごとの人口分布を予測した。政府が避難区域解除の目標に掲げ、賠償基準案で不動産を「全損」扱いとする5年後では、3分の1程度の住民の住居地が20ミリシーベルト超の地域に含まれ戻ることのできない計算だ。
 10年後(平成34年)に20ミリシーベルト超区域に該当するのは18%、約1万5500人。20年後(同44年)は8%、約6900人が20ミリシーベルト超区域に含まれる。大熊町は10年後で81%、20年後で32%の住民の帰還が困難。双葉町は10年後49%、20年後は18%が戻ることが難しい。
 避難区域別人口分布は、航空機モニタリング結果などを基に、放射性物質の自然減衰や風雨による移動に伴う空間放射線量の低下の予測を加えて試算した。除染の効果は考慮していない。