東日本大震災アーカイブ

作業員宿舎整備を加算 知事要望に復興相が見解

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復旧・復興事業の作業員宿舎が不足し作業の遅れが懸念される問題で、政府は公共事業の入札価格に宿舎整備の費用を加算する方向で調整する。佐藤雄平知事から宿舎確保の要望を受けた平野達男復興相が13日、「復旧事業で宿舎整備を考えて発注したい」との見解を示した。
 政府は道路や施設など社会基盤の復旧工事、除染作業などの入札価格に作業員向け宿舎の整備費用を盛り込み、現場周辺への宿舎設置を促す方向で調整する見通しだ。
 行政の発注する土木工事の場合、事業費には一定の割合で宿舎営繕費用の項目が盛り込まれており、この予算を従来より積み増しすることで対応すると県はみている。
 県内では本格的な復興に向け、社会基盤の復旧や除染の作業員、保健・医療・福祉関係の従事者などが使う宿舎の確保が課題となっている。津波で甚大な被害を受けた新地町は町内に2カ所の民間宿泊施設があるだけで、復旧作業員の宿泊先が不足するとみている。町復興推進課は「宿舎確保の費用が認められれば、復旧・復興事業に弾みとなる」と歓迎している。
 作業員宿舎の整備について市町村から対応を求められていた県は、「(平野復興相の発言が)実現するよう期待する。宿舎が確保できなければ復興の足かせになるため、政府はあらゆる施策を講じてほしい」(企画調整課)と求めている。
 要望活動終了後、佐藤知事は記者団に「一歩進んだ」と手応えを語った。