東日本大震災アーカイブ

柳津で10月「フルマラソン」 風評、豪雨被害から再生

フルマラソンが計画されている柳津町のコース。右手に只見川が流れ、奥に赤い瑞光寺橋が見える

 東京電力福島第一原発事故による風評被害や豪雨災害からの復興を目指す「フルマラソン大会」が10月、柳津町で開催される。町内の有志でつくる実行委員会が町内の名所などを巡る42.195キロのコースを設け、県内外から参加者を募る。参加賞として温泉入浴券や商品券を配ってもてなす。町内では同時期に「第10回全国門前町サミット」が催される予定で、町はマラソン大会とサミットの相乗効果で風評被害の払拭(ふっしょく)と観光再生に弾みをつけたい考えだ。
 実行委員会は町内のマラソン愛好者や町体育協会役員ら14人で構成する。大会は数々のマラソン大会の運営に携わっているNPOうつくしまスポーツルーターズと緑豊かな福島路を走ろう会の協力を得て、10月28日に開催する。
 柳津総合運動公園をスタート・ゴールに「七日堂裸参り」で知られる福満虚空蔵尊円蔵寺の近くを通過し、只見川沿いや紅葉を楽しめる県道を周回するコースを設定。1周約21キロで、2周するフルマラソンと、1周のハーフマラソンの2部門を設ける。
 参加費はハーフマラソン部門が6000円、フルマラソン部門が8000円。レース後の疲れを癒やしてもらおうと、柳津観光協会や柳津温泉旅館組合の協力を得て、参加者に町内の温泉入浴券を進呈する。町内で使える商品券も贈り、商店街の振興につなげる。来年以降も継続し、町の新たな名物イベントに育てる考えだ。
 開催に向けて現在、会津坂下署と協議を進めており、人員の配置計画も練って参加者の安全に万全を期す。
 町内の観光客は原発事故の風評被害で昨年、大幅に減少した。さらに昨年夏の集中豪雨で只見川支流の銀山川が氾濫し、柳津温泉街が浸水する被害に遭った。温泉街は復旧したものの、風評被害は長引き、旅館や土産業者は依然、厳しい状況にさらされている。
 実行委員会メンバーで町体育協会の斎藤玉喜会長(65)は「ちょうど紅葉が楽しめる季節。町の活性化のために成功させたい」と意欲を語る。
 「第10回全国門前町サミット」は大会直前の10月26、27の両日、町内で催される。全国の由緒ある神社、仏閣を抱える自治体の関係者が集い、歴史的、文化的な観光資源を生かした地域活性化に関するパネルディスカッションや交流イベントなどを繰り広げる。
 町はサミットと合わせてフルマラソン大会をPRする考えで、井関庄一町長は「小さな町でも頑張っている姿を伝え、本県の元気を全国に発信したい」と話している。
 13日には町内のやないづふれあい館でフルマラソン大会の実行委員会を開き、大会の概要や今後の進め方などを話し合った。