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自作と対面、画集出版 生きたい、もっと描きたい 23日まで東京で個展

画集に収録している宮本さんの「回生」

■双葉から千葉・流山に避難の洋画家 宮本豊蔵さん(59)
 双葉町に住んでいた洋画家宮本豊蔵さん(59)が画集を出版した。避難先の千葉県流山市で創作意欲を失ったまま過ごしていたが、長年支えられてきた画廊から促され、奮起した。一時帰宅で少しずつ絵を持ち出し、その中から約100点を収録。「災害を乗り越えるべく、再生の道を進んでいきたい」と再出発を誓っている。
 いわき市生まれで、保原高から東京のデザイン系専門学校に進んだ。卒業後は働きながら絵を描き、30歳の時に画業だけで生活していこうと決心。40歳で母の故郷・双葉にアトリエを構えた。
 東京を中心に毎年個展を開き、創作に燃えていた。しかし、東京電力福島第一原発事故が全てを奪った。着の身着のまま、妻の実家がある流山に避難した。
 大好きだったアトリエには帰れない。保管していた数100枚のお気に入りの絵を見ることもできない。心に湧くのは東電への怒りばかり。新作に取り掛かる気力はうせた。
 そんな時、なじみの画廊から「あなたの絵を楽しみにしている人がいる」と声が掛かった。昨年夏の初めての一時帰宅。アトリエで久しぶりに自作と対面し、画集を出そうと決めた。
 専業画家になって30年、そして還暦。画集は節目の年を飾る。一時帰宅のたびに持ち出した絵を厳選し、加筆修正した。巻頭に載せたあいさつには「生きたい、もっと描きたい」との一文をつづった。
 出版に合わせた個展を東京・京橋の金井画廊で23日まで開いている。「人の心に届く絵は、人生経験が豊かであってこそ描ける。何とか頑張っていきたい」と話している。
   ◇   ◇
 画集は5000円(送料別)で頒布する。問い合わせは宮本さん 電話04(7152)1332へ。

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