東京電力は3日、福島第一原発事故で避難している浪江町から出されていた社内事故報告書に対する質問書に回答した。町が原発事故当時、東電との協定に基づく連絡がなかったとして社内調査の詳細な内容をただしたのに対し、東電は「昨年3月13日に第一原発所員が浪江町(津島支所)を訪問し、町長らに通報文などを示し状況を伝えた」と回答。馬場有町長は「でたらめだ。一切会っていないし文書も見ていない」と否定し、東電に再調査して回答するよう求めた。
広瀬直己社長は午前中に二本松市の町役場二本松事務所を訪れたが、回答書を持参しなかったため、町の求めに応じ同日夕、あらためて訪れ、提出した。
東電は、昨年3月11日の事故直後は通信手段が不調で、連絡ができなかったなどと回答。馬場町長は「連絡を受ける3人の町の担当者は違う会社の携帯電話を使っていた。一社の通信状態は悪くなかった」などと指摘。回答内容が納得できないとして、一週間以内に再度の説明を求めた。
町への説明後、広瀬社長は報道陣の質問に答え「指摘を受けた点を、さらに詳しく調査する。社内調査だけでは不十分な場合もあるので、結果次第で報告書の内容の変更も考えられる」と語った。
浪江町は東電の通報連絡の遅れで町民が無用の被ばくをした恐れもあるとして、業務上過失傷害の疑いを視野に、刑事告発を検討している。
■連絡、対応は不十分 会長ら浪江町長に謝罪 社長、1日2回訪問
東電の下河辺和彦会長と広瀬社長は3日午前、浪江町役場二本松事務所を訪れ、下河辺会長が「原発事故の連絡や対応は十分といえなかった」と広瀬社長と共に馬場町長に謝罪した。
浪江町が東電に出していた質問書の回答期限は3日だったが、この場で示されなかったため、馬場町長が「どうして持って来ない。全く誠意がない」と声を荒らげた。
同日夕、広瀬社長が再び町役場を訪れ、回答書を出すことになった。東電によると、あいさつと回答の場は別に考えていたという。
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