中間貯蔵施設をめぐる政府、県、双葉郡8町村の意見交換会は19日、福島市のサンルートプラザ福島で開かれ、政府は施設の候補地として大熊、双葉、楢葉3町の計12カ所を示し、基本設計の前段となる現地調査に協力を求めた。県と8町村側はまず、副知事、副町村長の実務者レベルで受け入れの諸条件を検討することで一致した。東京電力福島第一原発事故から1年5カ月余。県内の生活環境改善に向けた最大の課題である中間貯蔵施設の建設に向けた動きがようやく本格化する。
町別では大熊町が9カ所で最も多く、次いで双葉町2カ所、楢葉町一カ所。
大熊町の候補地には、海水浴場やサケやな場がある熊川の河口両岸付近や、海岸沿いの大熊東工業団地付近、6号国道東側のパークゴルフ場付近などが挙がった。
双葉町は、町役場南側に位置する丘陵地帯で、スポーツ施設の双葉総合公園や住宅団地がある。楢葉町の候補地の波倉地区は住宅が点在する田園地帯だが、一部が東日本大震災による津波で大きな被害を受けた。
候補地選定に当たっては、周辺の空間放射線量は考慮せず、埋め立てしやすい谷地など有効活用しやすい地形であることや、6号国道や常磐自動車道など主要幹線道路からのアクセスなどを条件とした。大熊町の候補地が全体の半分以上を占める理由について、環境省は「双葉、楢葉に比べ、候補地に適した地形が多かったため」としている。政府は12カ所の候補地の中に、できるだけ多くの施設を設置したい考えだ。
環境省は地元の同意が得られれば、各候補地でボーリングによる地質・地下水調査や騒音震動などの環境調査を実施する。さらに、除染土壌などを運搬する道路の交通量や道路状況なども調べる。
県、8町村の実務者レベルの検討では、各候補地の選定理由や汚染廃棄物の想定埋設量、調査の具体的手順の確認などが議題になる見通し。必要があれば国の担当者を呼び、直接、説明を求める。その後、佐藤雄平知事が海外視察から帰国する9月2日以降、首長レベルの会合を開き、最終的な対応を決めるとみられる。
協議会には、平野達男復興相、細野豪志環境相兼原発事故担当相、佐藤知事、川内村を除く双葉郡各町村の首長が出席した。
終了後、細野氏は「地元の同意が得られないうちに調査することはない」と述べ、地元の意向を尊重する姿勢を強調した。一方、佐藤知事は「まずは実務者で論点整理する。いろんな課題や問題が出るだろうが、しっかり対応する」と語った。
政府は、1キロ当たり10万ベクレル以下の焼却灰と災害廃棄物を搬入する富岡町の既存の管理型処分場の位置も示した。また、災害廃棄物の仮設焼却炉について、個別市町村単位での設置を検討することも報告した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)