東日本大震災アーカイブ

生活圏を本格除染 南相馬市原町片倉 計画より半年遅れ

宅地の草を刈り込み、除染する作業員=南相馬市原町区片倉

 福島県南相馬市は3日、同市原町区片倉の住宅をトップに生活圏の本格的な除染作業を開始した。除染に伴う汚染土などの仮置き場の確保が難航したため、当初の計画から約半年遅れで始まった。
 除染作業は仮置き場が確保された特定避難勧奨地点を含む原町区の片倉、押釜、高倉、橲原の4行政区で先行して実施する。
 市と契約を結んだ竹中JVが1日約200人の作業員を動員し平成24年度内をめどに、4行政区で宅地834棟など約30ヘクタール、道路約30キロ、家屋周辺の約20メートルを対象にした生活圏森林約13.3ヘクタールなどで除染を行う。
 初日は片倉地区の3カ所で実施した。このうち、会社員杉政広さん(63)の住宅では庭の除草や屋敷林の枝打ちなどが行われた。杉さん方の空間放射線量は平均毎時1.46マイクロシーベルトで、446平方メートルの敷地は10日までに作業を終える。杉さんは「除染が進むことで、地域の人々が再び一つになるきっかけにつながることを期待している」と話した。
 市は仮置き場の確保が難航していることから、旧警戒区域と旧計画的避難区域を除く市内全域の除染作業について、当初の計画から9カ月遅れとなる平成26年12月ごろの完了を見込んでいる。