政府は4日までに避難指示解除準備区域で復旧・復興に必要な事業に携わる作業員らの宿泊を認めることを決め、対象市町村に伝えた。除染や生活基盤整備の本格化に伴い、大勢の作業員の往来で幹線道路が渋滞する懸念があるためだ。政府は滞在により作業が効率化し、復興が加速することも期待している。ただ、宿泊施設の確保をはじめ、認可する事業の内容など課題も残る。
対象は現時点で避難指示解除準備区域が設定されている福島県田村、南相馬、楢葉、川内、飯舘の5市町村。これまでは警察や消防の夜間活動などを除き、宿泊が禁止されていた。
福島環境再生事務所によると、除染作業員は5市町村で除染完了まで延べ50万人以上に上り、1日当たりでも数100人から数1000人単位。全域が避難指示解除準備の楢葉町の場合、いわき市から作業員が通うことが想定され、政府や沿線自治体は6号国道の渋滞を懸念していた。事業者からは作業員が長距離通勤することの負担を懸念する声もあった。
政府や市町村は作業員が常駐すれば昼夜勤務シフトを組みやすくなり、作業の効率化を期待する。ただ、政府の原子力災害対策本部は「作業員を受け入れる施設は限られ、いかに確保するかが課題だ」と指摘。楢葉町では、事業者が独自に簡易住宅を整備する構想を持っているという。
宿泊が認められる要件は「復旧・復興に必要な事業者」とあるのみで、政府によると、作業員を対象とするガソリンスタンドや病院、コンビニエンスストアなども想定されるという。市町村長が政府に対し、認可を申請する。政府の原子力災害対策本部は「宿泊を認めるかどうか判断が難しいケースが出ることも考えられる」としている。
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