東日本大震災アーカイブ

今を生きる 健康づくりで交流 多くの出会いに感謝 ヨガとエアロビ教室再開

指ヨガを体験教室で指導する長山さん(左)

■浪江から福島に避難 長山のり子さん 54
 「またこうして教室を開けるなんて」。浪江町で健康体操インストラクターをしていた長山のり子さん(54)は感慨深げに話す。
 避難先の福島市大森で再開したヨガとエアロビクスの教室UP-BEAT(アップビート)は軌道に乗った。9月からは、新たに指ヨガのクラスも開く。
 25年前に浪江町で教室を始めた。地元の子どもからお年寄りまでを指導してきた。公民館などにも足を運び、健康体操を広めた。
 しかし、東日本大震災、東京電力福島第一原発事故で避難を余儀なくされる。二本松市にしばらく住んだ後、昨年5月、福島市の住宅を紹介され、移った。近くにスタジオも借りることができた。
 初めは近くの市民らが通っていたが、同市に避難している浪江町や南相馬市の人も加わり、汗を流すようになった。
 「運動だけでなく、何げない会話や食事も楽しんでいる。こうやって集まれるだけでも幸せ」
 体を動かすよりも、教室の生徒と話をしている時間が長いこともしばしばだ。みんなの笑顔を見ていると自分も元気になってくる。
 指ヨガクラス開設を前に、8月28日には市内のアオウゼで無料体験教室を開いた。40人を超える女性が参加し、気持ちよく体を動かした。
 「教室を続けることで、『元気でいるよ』と浪江の人に知らせたい。厳しい体験もしたが、たくさんの新たな出会いもある。人との縁に感謝し、これからも活動を続けていく」と誓う。

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