東京電力福島第一原発事故で警戒区域に残され、劣化が懸念される文化財を運び出すレスキュー活動が5日、福島県富岡、大熊、双葉の3町で初めて行われた。各町の資料館から土器や石器、古文書、仏像、絵画などを運び、一時保管先である相馬市の旧相馬女高に搬入した。
県教委、県立博物館などでつくる県被災文化財等救援本部が国の救援委員会の支援を受けて取り組んだ。関係機関の担当者ら約30人が作業した。事前に文化財を梱包(こんぽう)してあったケースや段ボールなど約370箱をトラックに積み込んで運び出した。
文化財はいずれも事前の放射線量測定で法定上、持ち出しに問題がないレベルだった。校舎搬入後も土器や歌集など数点を測定し、数値に問題がないことを再確認した。
搬入した教室には湿度計や乾燥機などを配備しており、整理作業やクリーニングなどを行う。白河市の県文化財センター白河館「まほろん」に年内にも設置される仮保管施設に移送し、保管・公開する。2回目の搬出日程は未定。楢葉、浪江両町の文化財救出も検討している。
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