東日本大震災アーカイブ

飯舘、27年から段階帰還 村見通し「除染踏まえ最終判断」

 東京電力福島第一原発事故で全村避難が続く飯舘村は5日、住民帰還の見通しを示した。全住民が避難する自治体で帰還見通しを示すのは初めて。避難指示解除準備区域と居住制限区域の一部の合わせて16行政区は、原発事故から4年を経過した平成27年3月以降とした。ただ、村は国直轄で行われる除染の結果などを踏まえ、最終判断するとしており、帰還が計画通りに進むかは流動的だ。
 村は福島市の村飯野出張所で開かれた行政区長会議で、住民帰還の見込み時期の案として説明した。
 避難指示解除準備区域の4行政区と居住制限区域の12行政区が同じ時期の帰還を目指す一方、居住制限区域であっても比較的放射線量の高い村南部の比曽、前田八和木、蕨平の3行政区は事故から5年後の28年3月以降の帰還とした。帰還困難区域の長泥行政区は平成29年3月以降。
 帰還を実現するためには迅速で効果的な除染が求められる。しかし、村内の除染の開始時期が当初の8月下旬から今月上旬にずれ込んでいるのをはじめ、汚染廃棄物の仮置き場が一部決まらないなど課題は山積している。
 村は「村民の生活再建を急ぐ上で、(帰還時期によって異なる)財物賠償額を確定させるのが重要」と判断し、帰還時期の見通しを示した。ただ、居住制限区域の中で帰還時期に差が生じることで、住民理解を得られるかは不透明だ。
 村は今後、住民との懇談会で意見を聞き、国に最終案を報告する。国は村の報告を踏まえて避難区域の解除時期を決定するが、除染の進捗(しんちょく)状況によっては村の案より遅くなることもあるという。
 国は帰還困難区域について設定から5年後、避難指示解除準備と居住制限の両区域については数年後の解除を想定している。

カテゴリー:福島第一原発事故