東日本大震災アーカイブ

今を生きる 頑張る姿で周りに元気 夏休みの猛練習実る

トロフィーと賞状を手にする吉田さん

■英語弁論大会県大会出場へ 吉田千笑さん 15 浪江中3年
 「浪中の生徒が頑張っている姿をみんなに見せたかった」。東京電力福島第一原発事故により二本松市に移転している浪江中に通う吉田千笑(ちえみ)さん(15)=3年=は、4日に本宮市で開かれた安達地区中学生英語弁論大会暗唱部門で金賞1位となり、県大会出場を決めた。

 吉田さんは現在、平日は通学バスが発着する福島市の南矢野目仮設住宅の祖父母の元で過ごす。休日は母と妹が住む同市飯坂町の借り上げ住宅で生活している。学校へはバスで約一時間かけて通学している。
 英語には苦手意識があったが、先生や友人からの勧めで出場を決めた。夏休みも毎朝、部活動に参加する生徒用に出ていたバスに乗り、ほぼ毎日学校に通った。バスが出ない日は担任の亀田真樹子教諭が仮設住宅の集会所に出向き、指導に当たった。暗唱する話の内容の理解から始め、身ぶり手ぶりや表情など感情表現も練習した。
 大会当日は緊張が増し、不安な気持ちになったが、「ホール中に響くように大きな声を」と心掛け、練習の成果を発揮した。金賞1位が告げられると、これまでの苦労が吹き飛んだ。「両親や友人たちも自分のことのように喜んでくれた」と吉田さん。14日に猪苗代町で開かれる県大会に向け「悔いの残らないよう全力を尽くす」と誓った。

カテゴリー:連載・今を生きる