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高齢の父親を気遣う

■福島市御山町 台野弘之さん 50
 先祖は代々、専業農家。父重雄さん(74)もコメや野菜を栽培していた。「(いずれは)自分が田植えをやるよ」。震災2カ月前の昨年1月、弘之さんは切り出した。高齢になった父親の体を気遣っての決心だった。重雄さんは頼もしく感じた。しかし、父子の約束は津波でかなわなくなった。
 弘之さんは南相馬市原町区の実家から東北電力原町火力発電所に通勤し、週末は妻祐子さん(52)が待つ福島市の自宅に戻る生活だった。震災時は海に近い同発電所構内にいて津波に遭ったとみられている。
 スポーツが趣味で原町二中時代は野球、相馬農高では陸上に打ち込んだ。高校卒業後は東北電力に入社。バレーボールやゴルフに熱中した時期もあった。チューリップを大切に育てるなどガーデニングが得意で、優しく温厚な性格が友人に慕われた。
 実家は津波で1階部分が大きく壊れた。昨年3月11日、2階の真っ暗な部屋で、ろうそくの光に一筋の望みを託し、息子の帰宅を待った重雄さん。「もう少し早く逃げられなかったのか」。時間がたつほど、むなしさが増し心が締め付けられる。

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