東日本大震災アーカイブ

落ち着いて人生楽しみたい 町民の絆を保つことが大切 住民から切実な声

双葉町民が避難生活を送るいわき市の南台仮設住宅。住民には早期の「仮の町」整備を望む声も多い=6日

 「精神的にも肉体的にも現在の住宅環境は厳しい」。富岡町から郡山市に避難し、民間の借り上げ住宅で生活する派遣社員男性(63)はため息をつく。原発事故以前は一軒家に住んでいた。アパートのような仮の住まいではなく、「十分な広さがある家で落ち着いて人生を楽しみたい」と願う。
 災害公営住宅などを整備する町外コミュニティー「仮の町」については「便利な郡山市、双葉郡の気候と同じいわき市がいい」と考えている。ただ、「個人でさえどこがいいのか悩む。町は仮の町の規模などで判断が難しいのではないか」と話す。
 大熊町民の中には仮の町の早期設置を求める声が多い。3人の子を持ち、会津若松市の仮設住宅に暮らす女性(37)は「子どもの中学入学、高校受験と順を追っていくと2、3年のうちには腰を落ち着けられる場所を探さなければならない。情報がほしいので、できる限り町に付いていくつもりだ。どこでもいいから早く場所を決めてほしい」と訴える。
 双葉町からいわき市の仮設住宅に避難している会社員男性(41)は、町民の絆を保つことの大切さを強調する。「避難生活が続く町民の気持ちを1つにするために、仮の町をつくることは賛成。ただ、『つくる』『つくらない』どちらにするにせよ、早急に結論を出してほしい。何も動かないで時間だけが経過することが怖い。将来設計をしていくためにも、行政にはスピードアップをしてほしい」と注文を付ける。

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