川内村には東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後、いくつかの企業が進出の意向を示している。1月の「帰村宣言」後、村内に戻った村民は約750人で震災前の3割弱。雇用の場確保は村民に帰村を促す大切な要因だけに村に関心を持つ企業が増えていることを歓迎している。
これまでに工場立地に関する基本協定を結んだのは6月に総合製造業「菊池製作所」(本社・東京都八王子市、菊池功社長=飯舘村出身)、7月に木造住宅建築メーカー「四季工房」(東北本社・郡山市)の2社。
菊池製作所は県の企業立地補助金を活用し、旧富岡高川内校を改修して進出する。工場立地は飯舘村、二本松市(仮工場)に次いで3カ所目。同社によると川内工場では国内外で特許を持つアルミ精密鋳造技術「アルミ・ホットチャンバー・ダイカスト」などを主にした加工を予定している。8月20日に20代から60代まで31人が雇用され、村内で研修を行っている。9月中に工場が完成し10月中旬にも操業する。
四季工房は旧川内二小の体育館で一部、操業を開始した。同社が発注した家具を手掛ける家具工房ニングル(本社・北海道)の職人が技術指導する共同運営にし将来的には工場はニングルに移管する予定だ。今後、5人を地元採用し将来的には10人程度に拡大する方針。
■来月上旬、稼働の工場も
省エネルギー製品などの製造・販売「コドモエナジー」(本社・大阪市)も村内下川内の縫製工場跡地に進出する計画だ。9月中に改修し10月上旬にも仮工場を稼働させる。主力製品で電気を使わずに発光する磁器製誘導灯「ルナウェア」の量産態勢を目指す。
村の担当者は「企業進出が雇用と定住を促進する大きな鍵を握る」と期待する。
(カテゴリー:震災から1年6カ月 )