東日本大震災アーカイブ

企業立地補助金 予算増へ調整続く 保留の3件辞退 復興減速懸念

野田首相に企業立地補助金の増額を要望する佐藤知事=7月7日、県庁

 県内への企業立地や新増設を支援する「ふくしま産業復興企業立地補助金」の第一期申請で、県は申請のあった299件のうち、緊急性が高いと判断した167件を採択、約4割に当たる123件は予算不足で保留とした。県は投資額10億円以上の41件については、補助額の20%分の支出を先延ばしする。
 予算枠の約1600億円に対し、保留を含めた第一期の採択分だけで約1070億円の財源が不足している。県は保留分と合わせて政府に予算の増額を求めているが、明確な回答は得られていない。
 一方、政府は採択企業への補助総額を予算枠の半分の800億円程度に圧縮するよう求めているが、県は拒否する姿勢を崩しておらず、両者は協議を重ねている。
 保留企業のうち、3件は申請を辞退した。採択を待たず、自社の財務状況の可能な範囲で投資することに方針転換したというが、県は産業復興の減速を懸念している。
 今回の採択では約2700人の新規雇用が見込まれる。保留分を含めると約4100人の雇用となる。採択企業の中には、工場やラインの新増設を進め、既に新規の雇用を確保し製造活動を開始したところもある。
 政府は7月、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの本県の復興に向けた福島復興再生基本方針を閣議決定したが、補助金の積み増しは明記されなかった。県の担当者は「これまで同様、政府に補助増額を求めていく姿勢に変わりはない」と話す。

【ふくしま産業復興企業立地補助金の経過】
▼平成23年10月 政府が第3次補正予算案を閣議決定。その後、経済産業省が「地域経済産業復興立地推進事業費補助金」を創設
▼平成24年1~3月 県が経産省の「地域経済産業復興立地推進事業費補助金」を活用し「ふくしま産業復興企業立地補助金」を創設、第1期申請を受け付ける
▼24年4月 佐藤雄平知事が枝野幸男経産相に予算拡充を要望
▼24年5月 県が167件を採択、123件を保留、9件を不採択に
▼24年6月 政府が県に補助率引き下げと補助金精査を求める
▼24年6~7月 避難区域が再編された地域を対象にした第2期申請の受け付け
▼24年7月 佐藤知事が野田佳彦首相に予算増額を要望
▼24年9月 経産省が「津波・原子力災害被災地雇用創出企業立地補助金」を来年度概算要求に盛り込む

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