東日本大震災の被災地では、除染や復旧の作業員や介護・医療関係者らの宿泊施設の不足が深刻な課題となっている。
南相馬市旅館ホテル組合に加盟する市内の宿泊施設は計1200人ほどの収容力があるが、市内の一部が東京電力福島第一原発事故の避難区域に指定されているため、現在は半数ほどの約600人にとどまる。このため、中小機構などは市内に最大100人を収容できる仮設宿泊施設「ホテル叶や」を整備した。同組合によると、市内の宿泊施設では少なくとも年内はキャンセル待ちの状態が続くという。
市は宿泊施設不足の対策として、復興住宅施設建設促進事業補助金1億円を計上。作業員の宿泊施設を新設する事業者に1室当たり50万円を上限に補助する。市は国に制度の整備などを含めた支援を求めている。
いわき市内では、賃貸物件が不足している。市内の不動産業者によると、昨年の3月以降、空いている物件は原発事故で避難している双葉郡の住民が借り上げ住宅として利用するなどしているため、「物件がゼロに近い状態」という。
復興関連の業者から賃貸の問い合わせが多いが、関係者は「キャンセル待ちも受け付けられないほど」と話し、「この状態は5年ぐらいは続くのでは」とみている。
(カテゴリー:震災から1年6カ月 )