東日本大震災アーカイブ

企業立地補助金の増額表明 首相来県、知事に示す

 野田佳彦首相は7日、予算不足により約120件の採択保留案件が発生した「ふくしま産業復興企業立地補助金」の予算を増額する方針を明らかにした。不足額は当初より約200億円減り800億円程度とみられ、投資規模の大きな案件の補助率引き下げなどにより約400億円を捻出する一方、政府が残りの約400億円を新たに支出する方向で調整が進む見通しだ。政府は平成24年度補正予算での対応を視野に入れている。
 野田首相は本宮市で佐藤雄平福島県知事と会談し、知事からの予算増額の要望を受け入れる考えを伝えた。佐藤知事は会談後、記者団に「保留分の増額を早い時期に実現してほしいと要請した。野田首相から前向きに考えていくとの話を頂いた」と述べた。
 関係者の話を総合すると、当初の不足額は1070億円だったが、その後、企業からの申請取り下げなどが複数あり、不足額は800億円程度にまで減少している。投資規模の大きな案件に限り、「3分の2以内」としている補助率を「5分の2以内」に引き下げることや事業内容の精査により約400億円削減できる見通しになったという。
 残る約400億円を政府が補填(ほてん)するが、臨時国会召集のめどが立たず補正予算での対応が難しい場合には、24年度予算の予備費から拠出する案が浮上している。
 一方、経済産業省は25年度に「ふくしま産業復興企業立地補助金」に代わり、「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」を創設する方向で検討している。ただ、補助対象は沿岸部の津波被災地と原発事故による避難区域などに限定する方針で、県は県内全域に拡大するよう求める。
 野田首相は楢葉町の除染作業現場と仮置き場に足を運んだほか、本宮市でコメの全袋検査を見学した。
 野田首相が本県を訪れたのは今年7月以来で、首相就任以来5回目。