東日本大震災アーカイブ

住宅の劣化対策検討 平野復興相大熊訪れ方針 避難区域

被災した住宅の劣化状況を確認する平野復興相(左から2人目)

 政府は東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域で、風雨などの影響により一部の住宅の劣化が激しいことを受け、住宅の劣化対策などを検討する。今後、国が策定する帰還計画、避難地域復興再生計画にも住宅の状態に合わせた帰還方法、帰還後のまちづくりの在り方を盛り込む。4日、警戒区域の大熊町を訪れた平野達男復興相が明らかにした。
 平野氏は警戒区域設定から約1年7カ月が経過した町で、住宅の状態などを視察した。平野氏は記者団に「劣化が進む住宅の対策を考えなければならない」とし、土地家屋鑑定士ら専門家の意見を踏まえて対策を検討する考えを示した。長期間の無人化が劣化を進めるとの指摘もあり、一時帰宅の頻度の増加、滞在時間の延長なども視野に入れる。
 また、平野氏は「除染や生活基盤整備を実施し、行政サービスを回復すれば帰れると考えていたが、これだけ住宅の劣化が進んでいるとなれば、帰還計画や避難地域復興再生計画の考え方を見直す必要がある」と述べた。コミュニティーの中で住宅が劣化した住民とそうでない住民がいる場合、帰還手順をどのようにすれば良いか-などを検討する。
 平野氏はこの日、居住制限区域の大川原地区、帰還困難区域の旭台地区の被災住宅、オフサイトセンター、県立水産種苗研究所など12カ所を視察した。町内の住宅やオフサイトセンターを視察したのは初めて。バスの車窓からは中間貯蔵施設の建設候補地も視察した。

カテゴリー:福島第一原発事故