県は、新潟・福島豪雨災害で甚大な被害を受けた只見川流域の早期復興のため、20億円規模の「豪雨災害復興基金」(仮称)の設置方針を固めた。流域でダムを運用する東北電力と電源開発が原資を寄付する。地域復興の基金に電力会社が協力するのは異例。基金は特に被害が大きかった只見、金山、三島、柳津、会津坂下の5町の復興と被災住民の生活再建などに活用する。地元からは「原因究明がうやむやになる」と懸念の声も出ている。
基金は、東北電力と電源開発が10億円ずつ県に寄付する。既に両社から内諾を得ており、いずれも近く開かれる取締役会で正式決定する見通し。
県と5町は5日に「只見川流域豪雨災害復興協議会」を設立する。基金の対象事業や配分割合と時期などを協議し、基金を管理する県が各町に配分する。
配分額は5町の被害程度に応じて決める方針。各町の財政力や高齢化率も勘案し、詳細は今後詰める。
各町村が地域の実情に合わせて柔軟に活用できるようにし、町による防災施設設置や新たな産業振興策、被災者が壊れた住宅の改築・修繕などを行う場合の補助なども想定している。
広域的な復興施策や行政課題にも配慮する必要があることから、会津坂下以外の流域4町と昭和村でつくる「奥会津五町村活性化協議会」にも配分する。
県は基金の枠組みを早急に固めた上で、12月定例県議会への基金設置の条例案提出を目指す。
(カテゴリー:福島第一原発事故)