国直轄で進められる避難区域の除染作業が本格化するにつれ、作業員が大幅に不足する懸念が生じていることが5日、分かった。比較的に線量の高いとみられる地域での作業が敬遠され、県内のハローワークの除染作業を含む建設、土木関係の求人では、雇用が決まった割合(9月)はわずか10%程度にとどまっている。こうした事態を受け、長浜博行環境相兼原発事故担当相は同日、ハローワークと連携し、地元雇用を拡充する考えを明らかにした。ただ、作業員の不安解消に向けた有効策は見いだせず、先行きは不透明だ。
福島労働局によると、県内のハローワークには国と市町村の除染作業員として毎月400~600件程度の新規求人がある。多くは建設、土木作業などとセットで募集されているが、9月に雇用が決まった割合は建設・土木関係単独の求人では約17%だが、除染業務が含まれた募集では10%程度にまで下がる。
同局の担当者は「肉体労働できつい上、放射線への心配もある。除染の含まれた業務は敬遠されるのだろう」と分析する。
一方、国は直轄対象となる除染特別地域11市町村のうち、田村、楢葉、飯舘、川内の4市町村で本格除染を始めた。現時点で環境省に「人手が不足している」との報告はないが、残る7市町村で作業が始まれば作業員確保が難しくなるのは確実な状況だ。
除染のスピードアップには人員確保が不可欠。田村市都路町で作業を受注している鹿島建設など共同企業体(JV)の担当者は「(除染が本格化した時)どうやって作業員を確保するかが問題だ」と明かす。
(カテゴリー:福島第一原発事故)