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今を生きる 人の縁 感謝し創作 ワークショップ講師や芸術祭参加 「活動の幅 広がる」

ワークショップの参加者にまな板作りのこつを説明する樫村さん(右)

■いわき市から会津坂下町に避難 木工デザイナー 樫村 歩さん42
 「参加者が楽しんでくれていることで、私もうれしくなる」。いわき市から会津坂下町に避難する木工デザイナー樫村歩さん(42)は、20日に喜多方市の渡部木材工業の工房「会津木楽(きらく)館」で開いたワークショップ「まな板を作ろう」で講師を務めた。人との触れ合いが今の生活の支えになっている。
 いわき市の小名浜で育った。東京都の服飾系専門学校を卒業後、地元に戻り、県内の衣料製造・販売業者で洋服の型紙製作、デザインなどを手掛けた。結婚後、29歳でフリーのデザイナーに転身する。長男紫音(しおん)君(10)が誕生。平成21年秋からは木工を学ぶため東京都の武蔵野美術大にも通っていた。
 充実した生活の中で、東日本大震災が起きる。ライフラインが止まり、東京電力福島第一原発事故による放射性物質の拡散が懸念された。仕事がある夫はいわき市に残り、長男と親戚のいる会津坂下町に避難した。雇用促進住宅から大学へは通い続け、今年3月に卒業した。
 会津に住み始めて、あらためて人の縁の大切さを感じるようになった。制作拠点を探していると、渡部木材工業の渡部清雄社長(81)を紹介された。渡部さんは工房の使用を快諾してくれ、10、11月に芸術イベント「会津・漆の芸術祭」にも参加した。組子の技法を用いたテーブルを喜多方市の喫茶店「豆0(まる)」で展示した。
 10月からは会津地方の建設、林業関係者らでつくる「奥会津IORI倶楽部(いおりくらぶ)」主催のワークショップで講師を務めている。3回目の20日は、まな板作りに取り組んだ。地元住民と避難者合わせて15人に木工の楽しさを伝えた。
 いわきに帰る時期など将来は不透明だ。それでも会津の人々の支援で、充実した日々を送っている。「人とのつながりが活動の幅を広げてくれる」。感謝は尽きない。

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