東日本大震災

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津波で亡くなった娘の夢 ハンカチに いわきの鈴木さん 収益を市に寄付へ

震災の津波で亡くなった姫花さんの遺影。生前描いた灯台の絵がハンカチになった

 塩屋埼灯台で楽しそうに笑顔を見せる子どもたち。その後ろには大好きな青い海と真っ赤な太陽-。いわき市の沿岸部、平沼ノ内の学習塾経営鈴木貴(たかし)さん(36)は東日本大震災の津波に巻き込まれて亡くなった長女姫花(ひめか)さん=当時(10)、豊間小4年=が生前に描いた絵を印刷したハンカチを見詰める。
 憧れのデザイナーを夢見て毎日のように絵を描いていた姫花さん。何度も絵画コンクールで賞をもらう自慢の娘だった。3年生の時に「全国灯台絵画コンテスト」で佳作に選ばれた思い出の1枚には、幼いころから塩屋埼灯台に親しんだ娘の思いが染み込んでいる。
 ハンカチは今月までに1000枚以上を売り上げた。収益金を25日、いわき市に贈る予定だ。
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 日本グラフィックデザイナー協会などの支援を受けて作られ、昨年11月から今年3月まで全国で開かれた「やさしいハンカチ展」で販売された。「幸せの黄色いハンカチ」と呼ぶ人や、お守りとして大切に持ち歩く人もいた。まな娘がデザイナーの夢を少しかなえたような気がした。「ハンカチの数だけ姫花が多くの人に勇気や希望を分けている」。貴さんはうれしさと誇らしさが込み上げた。
 展示会終了後、娘のために再び販売することにした。テストの答案用紙から姫花さん直筆の名前をハンカチの右下に加えた。塩屋埼灯台近くの土産物店「山六観光」の鈴木一好社長(61)が協力し、1枚800円で店頭に並べた。
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 これまでの収益は25万円になった。義援金や災害遺児のために役立ててもらう。25日は貴さん、妻美起子(みきこ)さん(36)、長男皇成(こうせい)君(7つ)=豊間小1年=、次男丞(じょう)ちゃん(1つ)の家族全員で市役所を訪ねるつもりだ。「姫花が大好きだった古里を一日でも早く復興させてほしい」。姫花さんの夢と、それを応援してくれた人への感謝の気持ちを家族全員で伝える。寄付は今後も随時続けていくという。
 震災前に建て始めた新居は今年7月に完成した。「自分の部屋が欲しい」と家族の誰よりも出来るのを待ち望んでいた姫花さんの部屋は2階にある。「今も5人一緒に暮らしている」。貴さんは毎日、姫花さんの部屋に足を運び、遺影に優しいまなざしを向けている。

姫花さんの夢をかなえようと販売しているハンカチ

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