東日本大震災アーカイブ

商工会南双葉広域連携協議会が避難住民の声を本に

完成した「かたりべ」作品集を持つ藤田さん(右)と斎藤さん

 「東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の記憶を風化させることなく85人の"語り部"の思いを残したい」。富岡、楢葉、広野、川内の4町村の商工会で構成する商工会南双葉広域連携協議会は、避難が続く住民の声をまとめた「震災かたりべ作品集~私たちは忘れない ふくしまの歴史を残したい~」を千部、発行した。
 今月中にも県内の図書館などに配布する予定。
 協議会は平成23年9月から避難住民に体験談の応募を呼び掛けた。400字詰め原稿用紙1枚には母親が代筆したゼロ歳児から80歳代までの85人が、怒り、悲しみ、恐怖、喜び、感謝などを書き込んだ。
 事務局に届いた作品は23年11月から十数編ずつ順次、発行され、昨年3月までに第7集になった。作品集には全7集をまとめた105編が入っている。
 担当する協議会の藤田勉さん(31)=楢葉町商工会経営指導課主事=と斎藤徹さん(30)=同商工会経営指導員=は「一人一人を取り巻く環境は違うが、古里は全ての人の心の財産。その気持ちを古里復興に向けた原動力にしてほしい」と話す。
 作品集の最初と最後のページには「ふるさと写真集」と題して、富岡の桜のトンネル、川内のモリアオガエル、楢葉の木戸川渓谷、広野のミカンの丘をはじめ4町村の四季折々の風景を紹介している。「大好きな古里を心に刻み、決して忘れてはならない」。藤田さんらはそう願う。